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日本各地でも動きが広がっている空き家バンクですが、後志管内でも、景観を良好に保つため、また、廃屋になる前の空き家の活用のため、自治体と民間が連携をとり、本格的に取り組みをはじめたのが4年ほど前になります。

今年で俱知安町では2回目となります空き家バンクサミット、具体的にどういう取り組みをしているのか、また、現状はどうなっているのかなどを視察しに行って来ました。

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サミット参加には事前に申し込みが必要です。今回は前回同様たくさんの関係者の方が来場していました。前回との違いは、「うちの空き家の使い方」という会場を設け、ポスターセッションがあるということでした。自治体、NPO、大学、企業など全国から21団体が空き家の活用や移住、定住などについて出展していました。

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ポスターセッション会場の様子

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ポスターセッション会場の様子

講演は、広島県尾道市の空き家再生プロジェクトの理事の方、奈良県の空き家コンシェルジュの理事の方、また山形県鶴岡市のつるおかランド・バンクの理事長が各約40分講演を行い、それぞれの活動をスライドと共に説明してくださいました。どの自治体も、印象的だったのは空き家を負の遺産とせず、いかに有効活用できるかなど、そのつながりを生み出すことに成功していると思えました。その後の後志空き家バンクのお話は前回とほぼ同様、活動内容などをお話されていました。ほかの自治体と比べて物件数も少なく、また、空き家を必要とする人と、空き家を活用して欲しい人との連携がまだうまく作用していないような印象を受けました。

まずは町の協力なしでは成功は望めないため、どれだけの周知活動ができるか、また、有効活用するには、ただ、リフォーム例を提示するだけでなく、どんな人がどのように活用したいのかという、活用したい側の意見をもっとよく知る必要があると思いました。

尾道のプロジェクトは、コミュニティ、環境、建設、観光、アートという5つの主体となる視点から空き家の再生を考えているように、後志でも、空き家自体がいったいどのように再生し、どのように人とのつながりを生み出せるかを町の協力を仰いで全面的に活動を考えなければいけないのではないかと感じました。

また、ホームページ上でしか動きがないこと、そのホームページでの動きが希薄なことも大きな原因になっていると思います。俱知安やニセコでは、冬は特に観光客の割合が大きく占めます。アートという観点では、まだニセコも俱知安も根付きが見られず、クリエイティブな要素をのばしていける大きなポテンシャルを持った土地柄だといえます。地元で活躍するアーティスト然り、地元で採れたものを売る媒体、また、体験型のカルチャー教室など、観光という観点だけとっても、大いに地域をPRすることができるはずです。空き家の活用法は、移住定住にとどまらず、もっと地域と人を繋げる手段にだってなりうると思います。まずは、町もあまり把握管理しきれていない空き家物件、倉庫や廃工場などの物件の現状を把握し、町をあげて利用者を募り、身近なアートが根付く町としても活用して行けるのではないでしょうか。

アートはひとつの手段に過ぎませんが、空き家を活用したい人と空き家を使用して欲しい人との需要と供給は必ずあるはずです。現状把握をし、所有者青特定し、また、その意向を確認し、活用法を検討するという作業は簡単なものではないと思いますが、現に空き家を使用したい人、探している方は多く見かけます。物件数が少なすぎるとその架け橋となるBANKの意味を持たないように思えます。まずは若く柔軟な考え方のできる人材の確保と、動きを活発にするために、もっと町との連携をとり、うまく周知し、いい活用法が増えれば新しい動きになると思いました。

残念ながら後半のポスターセッションは時間がなくて参加できず仕舞いでしたが、自由観覧として一通り見させて頂きました。それぞれの団体がその土地柄や、建築を活かした街づくりに取り組んでいることがわかりました。町家や日本家屋が色濃く残る地域では外国人の方に喜ばれる民宿という形、海や山、坂に恵まれた場所に建つ空き家ではお試し移住の試み、古くから洋風の建築が多い場所ではアートギャラリーや物作りを目的とした活用など、その土地によって様々なアプローチをしていることがわかりました。若い人のアイデアが一際目立っている場所では、やはり新鮮な動きに捉えられました。

これからどんどん高齢者が増え、管理しきれなくなった家屋が出てくると思います。廃屋になってしまってからでは景観も損ねますが、痛みが激しくないうちに、しっかりとした流れの中で需要者に橋渡しができるような仕組み作りがまずは大事になってくるように思えました。


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